2013年10月1日
疎開した40万冊の図書
もう1か月くらい前になるが、日経新聞に「疎開した40万冊の図書」のことが載っていた。
第2次大戦末期の1944年〜45年頃、日比谷図書館の蔵書をはじめとする
貴重な本を現在の東京あきる野市の農家の蔵まで運んだ、という話である。
戦況が悪化し、本土空襲がせまった1943年12月、文部省が全国都道府県の
図書館に貴重な本を疎開させる指示を出した。
全国の30以上の図書館で実行されたそうである。
リュックに入れたり、大八車に乗せたり・・1回運ぶのに1日がかりで、空腹を
かかえ途中で空襲に会うこともあったという。
命がけの疎開だったそうである。
この記事を読んで、高原書店の創業者高原坦が以前当店で発行していた
「古書店と読者の雑誌」の巻頭言に書いていた言葉を思い出した。
「秦の時代、壁に塗りこめ焚書から書を守った人々、教典を求め、チベット、ヒマラヤ
を超えた唐の玄奘・・手鎖百日、財産没収、弾圧の中に生きた江戸の文人たち・・
文化の歴史は連綿と続き現代にいたっています。・・・・・・」
戦時中の図書館のことを知ると、胸がいたくなる。
大切な本を守るために多くの人が協力して命がけで守った、という事実。
本を守るということは人を守る、ということにつながる。
貴重な資料である古書をもっと大切にしなければ、と改めて思う。