2011年11月1日
八木重吉「茶の花忌」
白いお茶の花の咲くこの時期、10月26日は詩人八木重吉の命日です。
今年は没後84年。毎年この日に町田市相原町の八木重吉の生家で「茶の花忌」が開かれます。。
今年も昨年に引き続き参加させていただきました。。
高原書店の「おはなし会」でもおなじみの女優さん二人小飯塚貴世江さん、かねこあずみさん、が八木重吉の詩を朗読しました。昨年とても好評だった「鞠とブリキの独楽」・・もう1篇は「母の瞳」という秋に関する詩を朗読しました。
八木重吉は町田が生んだ詩人です。
明治31年(1898)町田市相原町生まれ。神奈川師範から東京高師英語科を卒業。
内村鑑三の著作に感化されキリスト教徒に。大正10年兵庫県御影師範の教師になる。
その後、千葉県柏東葛飾中学校に転任。
病弱ながら2000以上の詩を遺して29歳の若さで亡くなっています。
生前はたった一冊の詩集しかありません。
遺児の桃子さん(14歳)、陽二さん(15歳)は肺結核で亡くなりました。登美子夫人は重吉の遺作を大切に保存し・・歌人吉野秀雄と再婚。この夫婦で重吉の遺作の詩を世に出したのです。
八木重吉の詩は素朴で純粋・・わかりやすい言葉で私たちのこころに響きます。
生家の敷地内に記念館があります。重吉の甥の八木藤雄さんが土蔵を改造して記念館を開設し今も館長さんを務めています。
小さな記念館ですが・・資料や遺品が数多く整理され展示されています。
町田市相原町は八王子に近い町田のはずれ・・というか懐かしい香りのする田舎です。
秋にはこころに沁みる重吉の詩にぴったりの風景です。
10月26日の「茶の花忌」には重吉のファンが遠くからも駆けつけてきます。
生家の庭に作られたテントには200人近い人たちが集まるのには驚きました。
墓前での讃美歌の合唱。生家の庭での・・あいさつや合唱、朗読、ピアノ演奏、独唱・・
・・・・いろんなイベントが行われます。
途中休憩のとき、近所の人たちの手作りのごちそうがふるまわれます。
お赤飯、お煮しめ・・サトイモ、にんじん、がんもどき、ちくわなど・・味のしみ込んだおいしい懐かしい田舎の母の味がします。そして・・手作りの酒まんじゅう・・おいしくいただきました。
記念館のまわりや生家の庭には・・茶の花の他に・・コスモス、サザンカ、木犀など・・秋の花が咲いて・・重吉の詩にはふさわしい風景です。
生家の庭には重吉の詩が刻まれた石碑があります。
「素朴な琴」
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかねて
琴は静かに鳴りいだすだろう
重吉の柔らかく透明な魂を感じる詩です。
秋にはふさわしい、こころに沁みる「茶の花忌」でした。。。