2008年12月18日
表裏源内蛙合戦(おもてうらげんないかえるがっせん)
11月の芝居ナンバー1はなんといってもこの舞台だと思う。劇作家として、演出家として、それぞれ第一線を走り続ける井上ひさしと蜷川幸雄の顔合わせの4作目、3年前の「天保十二年のシェイクスピア」以来、このシリーズはずっと観ている。江戸時代の天才科学者、平賀源内の一代記を描いた喜劇である。歌あり、踊りあり、言葉あそび・・と井上ひさしならではの面白くてエネルギッシュな作品・・そしてまた蜷川の演出が奇抜で素晴らしい!!
表と裏の二役で描かれる源内の「表」が上川隆也、「裏」の源内が勝村政信・・さらに・・高岡早紀、六平直政・といった頼もしいキャステイング・・・4時間近い長編だったけど・・ドキドキわくわくの時間でした。
平賀源内・・といってもエレキテルを発明したおじさん、香川県出身の人・・くらいしか知らなかったけれど・・やはりすごい天才・・そしてかなり変わった人だったんだなあ・・って思ってしまう。
天才だからこそマイナスになってしまったり、飽きっぽかったり、スケベだったり、人間くさい面がいっぱい描かれていてほんとにおもしろい!!井上ひさしの描く人間は・・いつも人間の悲しさや欲深さや、弱さやマイナスの面もあたたかく含んでいて・・共感がもてる。どんな天才でも・・人間って悲しくて面白いなあって思える作品だ!
観ていて元気が出てきます。劇中で描かれる源内は、自分の中の欲望と理想、世の中の大衆と権力・・と常に相反する二つの間で矛盾をかかえながらも・・自分の全能力をかけて世の中をなんとかしようと常にもがき・・でも遊び心を失わなかった人だなあ・・・とあらためて感動しました。
この作品は1970年に書かれた作品だけれど・・矛盾を抱え続けた源内のいきざまは今の世の中にも十分通じるものがあります。これからもがんばろう!!と思える元気の出る素晴らしい舞台でした!!