2008年8月20日

道元の冒険

いろいろ忙しくて、少し時間があいてしまいましたが・・7月に観た芝居ベスト1はやはり「道元の冒険」だ。
井上ひさしが37年前に書いた作品(岸田戯曲賞受賞作)を蜷川幸雄が演出したものだ。この大御所二人の組み合わせは2005年の「天保12年のシェイクスピア」、去年(2007年)の「薮原検校」・・につづき3作めである。
井上ひさしの30代前半の作品だけに・・豊富な言葉と若いエネルギーにあふれている。
3時間を越える大作なのに・・少しも長く感じないほど魅力的でひきつけられた3時間だった。

曹洞宗の開祖道元は、難しい教理をいっさい唱えずだだひたすら座禅を組むことで悟りを開いた人である。
が、、幕府や宗教界からの弾圧は大きかった。権力をきらった道元にたいする作者や演出家の共感をかんじさせる熱い舞台でもあった。

道元の半生をたどる劇中劇の一方道元が夢みる世界では凶暴犯としてとらわれている。
言葉あそびとか、伊藤ヨタロウの音楽、おどり、とか・・多彩で楽しく変化に富んでいる。
宗教が主題だのに・・わかりやすくて面白く楽しい舞台だった。
そして・・・ラストシーンが強烈で印象的だ。鉄製の檻がゆっくり降りてきて、舞台と客席は一瞬に隔てられ舞台上は看護士がみとる精神病院と化してしまう。。

道元役の阿部寛のほか木場勝巳ほか4人の男優、文学座の神保共子さんほか5人の女優・・わずかこれだけの役者たちで何役もこなし、早変わりで衣装を何度も着替える。役者のそれぞれが生き生きし個性が輝いてすばらしかった!
木場勝巳さんの芸達者がほんとにすばらしく・・感動的だった。
作・演・音楽・役者・・どれもが格調高く見応えのある鮮烈な舞台だった!!

高原陽子

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