2008年5月20日

文学座アトリエの会「ダウト」

4月、5月、とやはり数本以上のお芝居を観たが・・少人数で長いセリフ、しかも中身の濃い、地味だけどこころにしみる・・素晴らしい舞台をふたつ!取り上げたい。まずひとつは、文学座の「ダウト」そしてもうひとつは、長塚京三さんが長年温めてきたという作品「エンバース」(燃え尽きぬものら)
・・・・今回はまず、「ダウト」について書きたい。

ストーリーは、1964年ニューヨークのミッションスクールが舞台。厳格な校長シスター・アロイシスが、情熱的で活発な教師フリン神父と、学校初の黒人男子生徒との間に抱いた「疑い」についての会話劇。「密室」での出来事は本当だったのか・・?若くて素直な新人教師シスター・ジェームスを通して、観ているわたしたちは「疑い」を体験し、フリン神父は白なのか、黒なのか、はっきりしないまま劇場をあとにすることなります。

出演者は、たった4人ですが、、長いセリフを感情を抑えぎみにしかも印象的に演じられて・・濃密な芝居。
セリフの持つ素晴らしさ、面白さを堪能できる舞台」だった。
厳格なシスター・アロイシス校長役の寺田路恵さん・・女性校長の威厳と四角四面なかんじがピシッと決まってほんとにカッコ良かった。
フリン神父から虐待を受けているかもしれない黒人の少年の母親役の、山本道子さん・・これがまたあっけらかんとして、現実的で生き抜いてきたたくましさ・・生活観など感じられて・・アロイシス校長との対比がすごく面白かった。
そして、フリン神父にぴったりの役、清水明彦さん!! 校長とフリン神父の激しい対立・・スリリングで迫力満点・・ほんとに素晴らしかった!

素晴らしいホンを、実力のある役者が演じると・・こんなにも素晴らしい、まさに芸術作品といえる舞台ができるのだなあ・・とほんとに感動しました。

高原陽子

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