2008年3月16日
「二人の約束」と「長崎ぶらぶら節」
2月後半から3月初めにかけて、心に残る素晴らしい芝居を4本たてつづけに観た。
1)二人の約束(パルコ劇場)
2)人間合格(こまつ座)太宰治の評伝劇(再演)
3)歌わせたい男たち(二兎社、永井愛作・演)(再演)初演の時、朝日舞台芸術賞グランプリ、読売演劇大賞に輝いた作品。
4)長崎ぶらぶら節(文学座)
このうち、再演ではない2本について少し書いてみたい。
「二人の約束」
中井貴一、段田安則、が旗揚げした「劇団ふたり」の第2回公演、作・演は「泪目(なみだめ)銀座」の福島三郎。
心あたたまる大人のファンタジーだった。面白くて、楽しくて、笑いながらみていて・・やがてじんわりと心にしみる・・・ほんとにいいお芝居だった。ここ最近観たストレートプレイの中では、ベストワンに入るくらい素晴らしい作品だった。実力派の中井さん、段田さん、の二人がヒロインりょうさんを迎えての3人芝居。
「一緒にタイムカプセル開けようね」それは30年前小学生の時にかわしたたわいない約束。
男は、その約束を律儀に守って・・開ける日を楽しみに待っていたが・・・・。。。
ちょっとずれてる中年男二人・・でもなぜか憎めない愛すべき二人・・・と幼馴染の女が繰り広げるちょっと切なく、ほろ苦く、そしてさわやかな・・大人のお話・・・過去に抱えた悲しみやいろんな思いが伝わってくる・・二人の演技もほんとに心に残りました。
また、中井貴一演じる独身の中年男が古物商というのも面白かった。「死者と話ができる」と伝わるカエルのおまもり、とか、独眼流正宗が愛の証にささげた目玉とかいかにもうさんくさいエピソードも面白く、中井さんの東京弁と段田さんの大阪弁のかけあいも・・雰囲気があって素敵だった。実力のある役者といい本であれば・・・たった3人でも、こんなに感動を与える作品をつくることができるんですねえ・・・。
「長崎ぶらぶら節」
これは、いわずとしれた、なかにし礼さん原作第122回直木賞受賞作であり、何年か前、映画化されその年の映画賞を総ナメにした作品です。長崎の古い歌を題材に丹念な取材に基づいて書かれた作品だそうです。
・・・10歳で奉公に出され苦労しながら芸者として、売れっ子になった愛八(平淑恵さん)ふとした縁で知り合った町学者、古賀十二郎(渡辺徹さん)・・・二人は歌を探して長崎を彷徨し、やがて埋もれていた名曲「長崎ぶらぶら節」を探し当てる・・・・。。
これは、文学座の総力戦といえるくらい・・文学座らしい素晴らしい舞台だった。
花街を舞台に、和装の大勢の女優さんたちによる三味線、舞踊、歌・・・とそろい、華やかで、文学座の伝統をうけつぐ素晴らしさをかんじさせてくれました。
・・なかにし礼さんのストーリーの面白さもさることながら、文学座の役者陣の層の厚さ、実力の確かさをみせてくれたいいお芝居でした。
また、この舞台は「歌」へのなかにし礼さんの思いや考え、そして、昔の長崎の空気に触れることができるし、長崎弁、移り変わる長崎の四季、珍しい長崎の行事などもみることができました。
文学座創立70周年記念らしい大作、名作・・そして、主演の平淑恵さん、ほんとに素敵でした。