2008年1月27日

日本画家、片岡球子さんのこと

今回はお芝居ではなく、日本画のことを書きます。
先日、現役日本画家最高齢の片岡球子さんが103歳で天寿を全うされました。
片岡球子さんといえば・・型破りの画風で有名ですが、実は片岡先生は・・私の日本画の先生であり高原書店発行の「古書店と読者の雑誌」に創刊から休刊までの20年間ずっとイラストを描いて下さってた田中順雄先生の芸大時代の恩師であるのです。
田中先生に日本画を習っていたころ、愛知芸大時代に教わった片岡先生のエピソードをよく聞いたものでした。
怖くて厳しい先生ではあったけれど・・田中先生たちも、球ちゃん、といって慕っていました。

個性的とか、自由奔放で日本画の約束事に縛られない絵を描く画家・・だとかよくいわれますが・・すごく印象に残っているのは・・やはりあの有名な「面構(つらがまえ)シリーズ」です。
足利尊氏、徳川家康、豊臣秀吉、といった戦国武将から・・日蓮、白隠といった高僧・・そして写楽、北斎、歌麿、広重・・など江戸の浮世絵師と進展した、面白く素晴らしく、個性的な「肖像シリーズ」なのです。
院展で毎年みるのも楽しみでしたが・・約10年くらい前、片岡先生が92歳の時、画業75年を記念して「面構」と「富士」の作品展を横浜美術館で開催されたのが・・すごく印象に残っています。
生命感にあふれ、力強く・・そしてユーモアがあり、エネルギッシュで、ダイナミックな・・その顔は・・強烈な印象とパワーを与えてくれました。
片岡球子さんは、もともと教育者であり、人間に強い関心を抱き人物画を得意としていましたが・・それが身近な人から始まりだんだん特徴的な人物像へと移っていったのです。
そしてそのテーマが「歴史を作れる力量のある男性」・・というのもほんとに力強く素晴らしい!
この「面構」シリーズをはじめたのが61歳の時・・というから・・感心してしまう。そして、その絵をみる時、わたしたちも素晴らしいパワーをもらうのです。

そしてもうひとつ有名なのが「富士山」のシリーズ・・・鮮やかな色彩と、型破りな躍動感あふれる富士山は・・また、みるわたしたちに素晴らしい力と、希望と、感動を与えてくれます。
片岡球子さんの「面構」シリーズをみていても思うことは・・人間を愛し人間が大好き・・ということは・・お芝居にも通じるところがあると思う。

片岡球子さんは、明治生まれの女性らしく「気骨のある」女性画家だったと思います。
ご本人にお会いしたことはありませんでしたが・・大好きな絵描きさんでした。
ご冥福をお祈りいたします。

高原陽子

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