2007年2月28日
夢の遊眠社のこと
こないだ、翻訳家、常田景子さんのエッセイを読んでいてびっくりした。
今はほとんど上演台本を中心とする翻訳にたずさわっている彼女が、かつて「遊眠社」の女優(劇団員)であった、というのだ。「走れメルス」では野田秀樹演ずる桐島洋子の娘のひとりを演じたり、「怪盗乱魔」ではセーラー服を着て走り回っていた、というのです。
さらにおどろいたことには、彼女が女優として、遊眠社での最後の舞台は「少年狩り」の初演なのだそうです。
この遊眠社の「少年狩り」という作品は、私にとっても忘れられない、遊眠社との出合いの舞台なのです。
高原書店が東京町田にはじめて古書店を出して、まだ3年目くらいの時。(1978年くらいかな)もう30年近く前になりますが…
当時、野田秀樹と一緒に遊眠社のスタッフをやっていた青山君という東大の学生が高原書店でバイトをしていたのです。
「少年狩り」…チラシにほんとにちっちゃな広告を出してあげて観に行きました。
駒場の東大学生寮の寮食堂に隣接していた「駒場小劇場」へ観にいきました
あまりのおもしろさに衝撃を受けました!
それまで四国徳島にいた私は、いわゆるストレートプレイしか観た事が無かったのです。
はげしい動き、洪水のようなセリフ、観客と役者との一体感…これは何なんだろう…と、あまりのおもしろさと素晴らしさにぐんぐん惹き込まれてしまいました。
これが、私の芝居好きの原点となっているかもしれません。
この作品が、あの円城寺あやさんのデビュー作だったのです。
この時、今も活躍中の段田安則さん、松澤一之さん、佐戸井けん太さんなどがいました。
なんとこの「少年狩り」の貴重なポスターが、わが家にあるのです。
野田秀樹作・主演、演出は当時青年座に所属していた篠崎光正さんでした。
「夢の遊眠社」が学生劇団でありながら、学生劇団に終らず、現在の「ノダ・マップ」…のように、こんなにも発展していったのは、もちろん野田秀樹さんの実力もあるし、芝居に対するきびしい姿勢。 このポスターをみても、自分たちの舞台への思い入れがなまはんかではないと思ってしまいます。
このポスター、なんと手作りのシルクスクリーンなのです。
今ではほんとに貴重だし、今みても美しいポスターです。