2006年10月11日

ベケットと別役実

今年はサミュエル・ベケットの生誕100年…ということであちこちでベケットの芝居やリーディング、ワークショップなどが行われている。
こないだ、ベケットの「エンドゲーム」を観てきた。
いわゆる不条理劇といわれる舞台だけれど…この舞台の主人公ハム(手塚とおる演ずる)の孤独感がものすごくリアルに伝わってきた。
お芝居の後、ポストトークのとき、ハムの相手役で出演の柄本明が「わからないことがすごく楽しい」と言っていた。
よくわからない……というわけのわからなさ…はそれが優れた戯曲であれば観る人の想像力を強く刺激し、観る人を不安にし、それが面白く、観る人を魅了する。

一本の木が立つベケットの「ゴドー…」と一本の電信柱が立つ別役実の世界は似ている…とよく言われる。
私の好きな別役の作品に「赤い鳥のいる風景」というのがある。
岸田戯曲賞をとった作品で、初期というか別役さんが29才の時に書いた作品だから、すごい!
この作品に忘れられない、いいセリフがある。
…「あなたにとってつらい道をえらびなさい」というセリフだ!
時々、思い出しては、深いなぁ〜と思ったり、自分を励ましたりしている。

高原陽子

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